賃貸マンションの更新料「有効」判決について①

本日15日、賃貸マンション契約における「更新料返還請求」の最高裁の判決がでました。最高裁は「更新料は有効」とする初判断を示し貸主側の勝訴が 確定しました。ブログをお読みの方には、この紛争背景をご存知ないかたもいらっしゃると思いますので簡単に今までの経緯をまとめてみます。

・平成19年、京都において借主が集団で貸主(家主)20人に更新料は不当で消費者契約法に違反して いるので今までに支払った更新料を返還せよと訴えた。

・平成21年、更新料の無効と、受領済みの更新料の一部及び敷引分を返還するよう命じた。

・貸主側が不服とし最高裁の判決待ちとなった。

・平成23年3月、最高裁が「敷引特約は有行」と判決をだした。

・平成23年7月、最高裁が「更新料は有効」と判決をだしたことにより貸主(家主)側の勝訴確定

さて、この問題については皆様のご意見はいかがでしょうか?

もう一度この紛争の論点を、消費者保護法、借家権など法的観点をあえて深く考慮せず実務を通して振り返りたいと思います。

◆まず、言葉の意味を理解してみましょう。

<敷引特約と更新料について>
・借主が賃貸契約時に支払う敷金が2ヶ月とします。借主が退室する際には借り物ですから通常ハウスクリーニング代金と毀損箇所ある場合は原状回復費用を敷金より差引いて家主が買主に返却します。
まあー、都営住宅しかり公的な住居も同じように取扱いと一緒ですね。これに対し敷引特約とはあらかじめ契約終了時には一定の金額を返還しない旨と契約の特約条項にもりこんでいる契約で、具体的には、敷金20万円の内、敷引10万円であれば解約時に自動的に10万円は差引かれ、残り10万円か ら原状回復費用を差引く等々になります。

※何故、敷引特約なんて曖昧なものがあるのでしょうか。敷引の性質として、家主への謝礼、自然消耗の修繕費、賃料を低額にしてもらうことへの代償・・・などありますが、借主にとっては納得いかないでしょう。何故なら一言で申せば曖昧だからです。今回の裁判は関西地方の話で東京方面とは契約の慣例が異なるので裁判になった賃貸条件の契約内容の一例を挙げておきます。

<今回の関西地方紛争裁判>             <左記が東京の慣例であれば>

・賃料毎月        45,000円
・礼金          60,000円・・・・・・・・・・・・・・・・礼金1ヶ月又は礼金なし
・敷金         100,000円・・・・・・・・・・・・・・・・敷金1ヶ月または2ヶ月
・更新(1年ごとに)  100,000円・・・・・・・・・・・・・・・・更新(2年ごとに)賃料の1ヶ月

つまり、関西方面の賃貸契約は賃料以外の項目が東京方面よりかかるといわれております。さて、ここで余計なお金を払いたくない借主ときっちりお金を回収したい家主とのお互いの主張がでてきます。そしてそれらの業務に携わり商売している不動産会社の意見も加味されてきます。

<借主と家主の主張について>

(借主)
平成13年4月1日より消費者契約法が施行され、消費者にとって不利な内容は諸費者保護法に違反すると借主が反論した。つまり借主は契約時に家主や家主代理人の不動産会社で契約する時は契約せざる得ない状況におかれていて、まして知識や交渉力がない消費者立場なのだから不利な条件を飲まざる得ない。

(家主)
家主側にとってはその分、賃料を安くしているのだからという考えと契約自由の原則より契約時に借主と家主で合意していれば特約は有効であろうとの考えになります。だから一度、納得して契約したのに踏み倒すことは断じて許せない。

(不動産会社)
一般的に更新手続き完了後に更新料の一部は事務手数料として家主より報酬をいただきます。
更新料は40年も全国で続いている慣例で、更新料特約の契約件数は全国で100万件以上あるとみられており、ここで借主の主張を認めることは不動産会社の営業損失にもなります。

★この更新料裁判について、我々の不動産業界紙では色々な見識者の意見が掲載されていますが実務に携わっている私なんかが読んでいると、法的観点のみであーやっぱり実務に携わっていない人の意見は参考にならないなーとつくづく思います。まー誌面のご意見番は具体的に書けない背景ありますし、改善策を考えるのが我々業者側の課題ですからそこまで人様に求めてはいけません。よって次回のブログでは、借主様(予定者)と家主様の不安を取り除くには一体どうすればよいかを考えていきたいと思います。

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